第4回 治療の主役―(『19番目のカルテ』第4話より)

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漫画『19番目のカルテ』を読んで、“ドクターG度”検定クイズに挑戦!
あなたは初級? 中級? 上級?

※本記事は、漫画『19番目のカルテ―徳重晃の問診』のドラマ化(TBS系日曜劇場、毎週日曜21時~)を記念し、2021~2022年に掲載された『総合診療』誌での同作関連の連載より、第4回(2021年7月号、p.893~895)を「1カ月間限定」にて復刻するものです。

※特設サイトでは、『19番目のカルテ』を期間限定にて無料でお読みいただけ、そのエピソードに因んだ「“ドクターG度”検定」に挑戦できます。自動採点され、正解とミニ解説に加え、同作の主人公・徳重晃先生からのコメントも! 結果は、ぜひSNSでシェアしてみてください。

【今月の出題・解説】徳田安春(臨床研修病院群 プロジェクト群星沖縄研修センター)

まずは漫画の試し読みから!

 特設サイトから『19 番目のカルテ』第4話「治療の主役」を読もう! 読んだら、以下の「“ドクターG度”検定」に挑戦しましょう!

“ドクターG度”検定に挑戦しよう

Q1 体温を下げる機序に含まれないものは次のうちどれか?

 発汗による蒸発
熱対流
熱放射
皮膚血管収縮

Q2 皮膚の異常皮疹である紫斑では、あるものが血管の外に出て行く現象を意味する。それは何か?

 塩分
赤血球
アルブミン
水分

Q3 今回のエピソードで見られた皮膚の出血、すなわち紫斑の原因は何か?

 血管炎
血小板減少
凝固因子欠乏
血小板の機能を抑える薬剤

Q4 血管炎による紫斑には特徴が2つあり、1つはそれ以外の原因による紫斑ではみられないような「痛み」をきたす。もう1つの特徴はどれか?

 紫斑が盛り上がる
紫斑が窪む
紫斑の形が線状となる
紫斑の色が薄くなる

Q5 今回のエピソードの患者さんには蛋白尿と血尿はなかったが、もしそれらがあった場合、どの臓器に血管炎をきたしていると考えるか?

 尿道
膀胱
尿管
腎臓

深読み解説

 今回のエピソードは5歳の男の子の皮膚に異常が出たケースであった。
 皮膚の異常はしばしば全身の病気を表す窓となる。時間外診療に対応し、皮膚の異常から全身の病気を診断した総合診療医チーム。それだけではない。主人公の総合診療医・徳重先生は、付き添いの母親と患者の男の子との微妙な関係について診断した。そして母親に適切な助言を与えることで、子どもが病気に襲われた時に親子関係が果たせる治癒力をも引き出したのだ。検査や処方だけでなく、医師としての大きな役割を果たした。
 良好な親子関係には愛と信頼が必要であるが、遺伝的な関係は必須ではない。病気で苦しみ、注射を嫌がる子どもにとって最も必要な存在は母親である。(たとえ血がつながってなくても)母親が側についていてくれることが、病気を乗り越える力になる。今回の病気を共に乗り越えた2人は、親子の絆が深まったことと思う。

解説 Q1

 皮膚はヒトの身体のなかで最大の組織であり、物理的に外界から体を守る防御機能の他にもさまざまな機能がある。
 まず、皮膚の体温調節について見てみよう。人間の体では、筋肉運動などによって熱が産生されるが、皮膚を通してうまく熱を逃している。これで私たちは体温を一定に保つことができる恒温動物となりうるのだ。では、どうやって熱を逃しているだろうか?
 発汗による蒸発と熱対流、そして熱放射は熱を放出し、体温を下げる効果がある。たとえば、汗が蒸発すると熱を放出し、対流は空気を通して、そして放射は赤外線で熱を放出する。しかし、皮膚の血管収縮は血液循環が対象から遮断されることにより、熱の放出を防ぐ効果がある。血管収縮は体温が下がらないようにする反応なのだ。寒い冬に手足が冷たくなるのはそのためである(図1)。


図1 ヒトの腕での対向流熱交換

寒冷下では動脈血が静脈血で冷やされ、体熱の損失を少なくする。
文献1(永坂鉄夫(著):皮膚血管反応.中山昭雄(編):温熱生理学.p130,理工学社,1981)より

皮膚血管収縮

Q2以降の解説およびクイズの答えは、『総合診療』電子版ポータルサイトでご参照ください。


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著:富士屋カツヒト
医療原案:川下剛史

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