【ケース概要】
1例目:20代,男性。
2年間にわたり微熱が断続的に続き,繰り返し精査を行うも熱源不明のまま,外来にて長期フォローしていた。日常生活に大きな支障はなく,グッタリしているわけでもなかったが,(コロナ禍の影響もあり)熱があるため出勤できない状態が長く続いている。
2例目:60代,女性。地方の僻地エリアに在住。
実子とは遠く離れ,内縁の夫と睦まじく暮らしてきた。その夫が看病の甲斐なく急死したが,内縁であることを理由に葬儀などへの参列を拒まれた。その後,夫の主治医に面談とカルテ開示の希望があった。「(夫に対し)もっとできることがあったのではないか」と涙を流され,悲嘆に暮れる状態が長く続いている。
【このカンファで語られている10点ポイント】
①どこまでやれば「機能性(高体温症)」 と診断できる?
②これはdisease? あるいはillness?
―illnessへ舵を切る「発熱」ならではの怖さ
③「もしかして病気じゃないんじゃないか」
―「diagnosis(診断)」ではなく「sense maiking(意味づけ)」を
④「BPSモデル」から「SPBモデル」へ
⑤「精神的なもの」「ストレスですね」と言う前に
⑥吐露された感情(悲嘆)にどう反応するか?
―「大変デシタネ」と言う前に
⑦患者さんが診察室で泣けるのは,いい診療です。
⑧ムラの「家」や「家族」のあり方
⑨「喪の作業」とグリーフケア
⑩都市/地方を問わず,“家族の形”はいろいろです。
【出演】
藤沼 康樹(生協浮間診療所 / 医療福祉生協連家庭医療学開発センター:CFMD)
金子 惇(横浜市立大学大学院 データサイエンス研究科 ヘルスデータサイエンス専攻)
綿貫 聡(東京都立多摩総合医療センター 救急・総合診療科)
八百 壮大(JCHO横浜保土ケ谷中央病院 総合診療科)