吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)
Answer
漢方治療では同じ病名であっても患者さんの個々の体質・症状に応じて漢方薬を使い分けます。これを「同病異治(どうびょういち)」と言います。
風邪を例に挙げると,漢方治療では発症時期,悪寒などの症状,さらには患者さんの体質も考慮して漢方薬を決定します。代表的な漢方薬である葛根湯(かっこんとう)は,発症して間もない悪寒のある時期で発汗がなく,項(うなじ)がこわばる場合に適応になりますが,さらに悪寒が強く,体の節々に痛みがあるような場合は麻黄湯(まおうとう)の適応です。