吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)
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漢方薬の副作用に注意するためには,漢方薬単位ではなく,どの生薬によってどんな副作用が生じうるかを理解する必要があります。甘草による偽アルドステロン症,黄芩による肝障害,間質性肺炎,麻黄の交感神経賦活作用による諸症状,山梔子による腸間膜静脈硬化症,附子によるトリカブト中毒,大黄による下痢などがその代表です。
漢方薬は植物などの自然界にあるものを由来とし,作用も穏やかな印象があるせいか,漢方薬には副作用はないと勘違いされていることがしばしばあります。「副作用の心配がないから」と漢方治療を希望して受診する患者さんには,「漢方薬も薬ですから,副作用を起こすことがあります。ソバや小麦を食べてもアレルギーを起こすことがあるのと同様です」と説明しています。一方で,すべての漢方薬をひとまとめに副作用のリスクが高いものと考えて,過度に副作用を恐れている場合もあるようです。