吉永 亮（飯塚病院東洋医学センター漢方診療科）
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腸間膜静脈硬化症は，2013年に厚生労働省の研究班によりクチナシを基原植物とする山梔子との関連が示唆されています。腹痛，下痢，腹部膨満などの消化器症状が出現しますが，無症状の場合もあります。多くは原因となる薬剤の中止で改善しますが，重症例では手術に至るケースもあるため，注意が必要です。
腸間膜静脈硬化症は，静脈還流障害による腸管の慢性虚血性変化をきたす稀な疾患で，1991年に小山らにより「原因不明の特発性静脈血栓症と虚血性大腸炎」として最初に報告1)されました。その後も報告が続き，病態も徐々に明らかになり，炎症細胞浸潤が乏しいことから，特発性腸間膜静脈硬化症として提唱されるようになりました。