吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)
Answer
附子はトリカブトの塊根を加熱処理した生薬で,身体を温める作用と鎮痛作用があります。附子を含む漢方エキス製剤は十分に減毒処理されており,トリカブト中毒の危険は少ないと言えますが,安易に用いてはいけません。適応となるのは冷えが主体の病態である陰証の患者さんです。暑がり,赤ら顔,のぼせがある,体格がよいなど,漢方医学的に陽証と判断される患者さんには用いないことが原則です。
附子(ぶし)は身体を温める作用と鎮痛作用があり,冷えを重視する漢方治療では欠かせない生薬です。附子はアコニチンなどの毒性の強いアルカロイドを含むトリカブトの塊根から作られますが,加熱処理することで毒性は低くなっています。特に漢方エキス製剤に含まれる附子は十分に減毒処理され,含有量も多くないことから副作用の危険はほとんどありません。