Question 44 
漢方治療における附子の具体的な使い方を教えてください (1) 附子を含む漢方エキス製剤の場合

吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)

 

Answer

附子はトリカブトの塊根を加熱処理した生薬で,温める作用と鎮痛作用があります。附子を含む漢方エキス製剤は牛車腎気丸,八味地黄丸,真武湯などが代表的で,冷えが主体の病態である陰証に用います。また,附子単独からなる製剤もいくつか流通しており,患者さんの冷えの程度や気温の変化に応じて附子の投与量を調整して処方します。

 

附子(ぶし)には身体を温める作用と鎮痛作用があり,冷えに対する漢方治療で最も重要な生薬です。鎮痛作用に関して,抗アロディニア作用1),下降性痛覚抑制系の賦活作用2),κ-オピオイド受容体の内因性アゴニストであるダイノルフィン増加作用3)などが解明されています。高齢者の整形外科領域の疼痛疾患に対してブシ末の有用性を前向きに検討した報告4)では,約3/4の症例で有効な鎮痛効果が得られ,重篤な副作用は認めなかったとされています。このように,高齢者の慢性疼痛に対して,附子を用いた漢方治療は安全でとても有用です。

 

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