Question 52 
西洋薬と漢方薬の併用で有用な組み合わせを教えてください (3) 胃食道逆流症や機能性ディスペプシア

吉永 亮(飯塚病院東洋医学センター漢方診療科)

 

Answer

胃食道逆流症や機能性ディスペプシアに対してプロトンポンプ阻害薬(PPI)と六君子湯を併用すると,PPIによる胃酸分泌抑制以外にも,胃酸の逆流予防や消化管の運動促進などの効果が期待できます。六君子湯以外にも,膨満感やげっぷを伴う場合には半夏厚朴湯や茯苓飲合半夏厚朴湯,下痢型過敏性腸症候群を合併する場合には半夏瀉心湯が候補になります。PPIの長期使用による有害事象も指摘されており,漢方薬を併用することでPPIの減量や中止に貢献できることもあります。

 

『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021 改訂第3版』において,「CQ4-3 常用量のPPIで効果が不十分な場合に推奨される治療法は何か?」の項目に追加投与の選択肢として六君子湯(りっくんしとう)が挙げられています1)。プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)は基本的に胃酸分泌を抑制することで,胃酸分泌過多や胃酸の逆流に対応します。漢方治療を併用することで,PPIでは対応できない胃酸の逆流予防,消化管の運動促進,胃排出能促進などの効果が期待できます。そのような理由から,胃食道逆流症や機能性ディスペプシアに対してPPIと漢方薬の併用は有用な組み合わせであり,もっと積極的に併用されてほしいと思います。

 

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