藤井 啓世(聖マリアンナ医科大学 総合診療内科)
大槻 拓矢(川崎市立多摩病院 総合診療内科)
図1 疼痛箇所を押さえながら腹筋運動を行うと疼痛は悪化する(写真は模擬患者)
CASE
患者:28歳,女性。
主訴:腹痛。
現病歴:1年前から月に1回程度の腹痛を自覚し,1カ月前から腹痛の頻度が増えた。3時間前に腹痛が出現し,痛みが悪化したため夜間救急外来を受診した。腹痛は体幹前屈でやや悪化し,臥位で改善する。生ものの摂取歴はない。
既往歴:特記事項なし。
常用薬:低用量ピル。
バイタルサイン:身長156.0cm,体重72.0kg。体温36.9℃,血圧130/91mmHg,心拍数96回/分,呼吸数16回/分,SpO2 99%(room air)。
身体所見:腹部は平坦・軟で,腸蠕動音は正常。臍左上と左下にそれぞれ1㎠程度の圧痛点があり,同部位の温痛覚障害を認める。反跳痛は認めない。疼痛部位を圧迫し,図1のように頭を持ち上げ腹筋運動を行うと疼痛は悪化する。血液検査や腹部CT検査では特記すべき異常を認めない。
Q1 最も考えられる疾患は何か?