第24回 手は口ほどにものを言う

伊藤 恭平(南砺市民病院総合診療科)

 

CASE(一部改変あり)
患者:60代,男性。
主訴:両手指の浮腫,手関節および指節間の関節痛。
現病歴:ADL自立の男性。受診前日より両側手関節および手指の運動時痛を自覚した。受診当日の朝に両側手指および手背の浮腫,発赤および熱感が出現し,手指の屈曲が困難となったため同日受診となった。受診時の手の写真を示す(図1)。
併存症:2型糖尿病(来院時HbA1c:8.5%),気管支喘息,脂質異常症,高尿酸血症,大腸憩室症,アレルギー性鼻炎。
既往歴:潰瘍性大腸炎,大腸癌術後,甲状腺癌術後,肘部管症候群。
常用薬:フルチカゾンプロピオン酸エステル吸入,プランルカスト,シダグリプチン,アゼラスチン,メトホルミン,ボグリボース,プラバスタチン,大建中湯。
バイタルサイン:体温38.0℃,血圧131/75mmHg,心拍数69回/分,呼吸数16回/分,SpO2 97%(RA)。
頭頸部:眼瞼結膜:貧血様でない,眼球結膜:黄染なし,側頭動脈の触知は可能で圧痛なし,頸部リンパ節:腫脹なし,頸部関節の圧痛・運動時痛なし。
胸部:心音:Ⅰ→Ⅱ→Ⅲ(−)Ⅳ(−),雑音なし,肺音:エア入り良好,明らかなラ音を聴取せず。
腹部:平坦・軟,明らかな圧痛点なし,腸蠕動音の聴取は良好。
四肢:両手関節〜手背に軽度の圧痕を残す浮腫あり,両手関節や各手指のMP・PIP・DIP関節に熱感,腫脹,疼痛あり,手指は浮腫のため自他動ともに屈曲・伸展制限あり,右肘関節に熱感および腫脹あり,屈曲・伸展制限なし,両肩・左肘・下肢の関節には特記所見なし,painful arc徴候陰性,四肢末端に明らかな皮疹や出血斑なし,爪床出血なし,ダーモスコピーで爪基部を確認したが毛細血管拡張は指摘できない。

 


図1 手指の所見 

 

Q1 本患者の常用薬で今回の病態と関連している可能性があるのはどれか?

(1)プランルカスト
(2)シダグリプチン
(3)アゼラスチン
(4)プラバスタチン
(5)大建中湯

 

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