第6回 すべてがうまくいくかにみえたアンピシリン・スルバクタム

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京大学医学部附属病院感染症内科)


Keywords:アンピシリン・スルバクタム(ABPC/SBT),大腸菌(Escherichia coli),ブドウ球菌(Staphylococcus属),嫌気性菌


Q.アンピシリン・スルバクタムのスペクトラムを教えてください!


A. ペニシリンG(PCG)やアンピシリン(ABPC)のスペクトラムに,ブドウ球菌,大腸菌,横隔膜から下の嫌気性菌を加えたもの…と言いたいところですが,大腸菌が絶賛耐性化中です。

 

今回は,皆さんがよく使うアンピシリン・スルバクタムを解説していきます。名前の通り,これはアンピシリンに「スルバクタム」というβラクタマーゼ阻害薬を配合した抗菌薬です。これまで解説してきたペニシリンGやアンピシリンには,ブドウ球菌,大腸菌,横隔膜から下の嫌気性菌をカバーしきれないという問題点がありました。その大きな理由が,これらの細菌の産生するβラクタマーゼという酵素だったわけですね。つまり,βラクタマーゼを阻害できるアンピシリン・スルバクタムであれば,これらの細菌を理論上カバーできるということになります。

 

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