第10回 幅広いGPC・GNRをカバーするセフトリアキソン(第三世代セフェム系)

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京大学医学部附属病院感染症内科)

 

Keywords:セフトリアキソン(CTRX),インフルエンザ桿菌(Haemophilus influenzae),モラキセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis

 

Q. セフトリアキソンのスペクトラムを教えてください!

A. セファゾリン(CEZ;第一世代セフェム系)やセフォチアム(CTM;第二世代セフェム系)のS&S+PEKに加え,インフルエンザ桿菌やモラキセラ・カタラリスなど市中肺炎の起因菌をカバーします。頭文字をとってS&S+HMPEKと呼ぶ人もいます。

 

今回は,皆さんがアンピシリン・スルバクタム(ABPC/SBT)と並んでよく使うセフトリアキソンを取り上げていこうと思います。この抗菌薬は第三世代セフェム系に位置づけられるのですが,トリオ(三重奏)の「トリ」で三番目と覚えていただければ忘れにくいかもしれません。一般に,セフェム系は世代が進んでいくごとにグラム陰性桿菌(GNR)のカバーが広がっていく傾向にあるのですが,セフトリアキソンのスペクトラムを一言で言えば,従来までのS&S〔ブドウ球菌(Staphylococcus属)とレンサ球菌(Streptococcus属)〕+PEK〔プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis),大腸菌(Escherichia coli),クレブシエラ(Klebsiella属)〕にインフルエンザ桿菌(Haemophilus influenzae),モラキセラ・カタラリス(Moraxella catarrhalis)を加えたものになります注1

 

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