執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京大学医学部附属病院感染症内科)
Keywords:第三世代経口セフェム系抗菌薬,ST合剤,大腸菌(Escherichia coli),緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
Q. ST合剤のスペクトラムを教えてください!
A. セフトリアキソン(CTRX)のスペクトラム(S&S+HMPEK)とだいぶ似ています。ただし,医療機関による感受性率の違いや多様な有害事象にはご注意を!
前回は,βラクタム系抗菌薬を静注から経口へと切り替える作業をしましたが,第三世代以降のセフェム系に匹敵するスペクトラムをもった経口抗菌薬がないという問題点が浮上していました。第三世代経口セフェム系抗菌薬もいくつかありますが,そろって腸管からの吸収が悪いため,実臨床では使用しづらいという問題点がありました。βラクタム系抗菌薬に選択肢がないとなると,どうやらここから先は,βラクタム系以外の抗菌薬も学んでいく必要がありそうです。そこで皆さんには,手始めにST合剤を知っていただけたらと思います。