執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京大学医学部附属病院感染症内科)
Keywords:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),バンコマイシン(VCM),レッドマン症候群,血漿薬物濃度曲線下面積(AUC),最小発育阻止濃度(MIC),テイコプラニン(TEIC)
Q. バンコマイシンで発赤が出現しました。ほかの抗菌薬に変更したほうがよいですか?
A. 真のアレルギーなら変更しなければなりませんが,レッドマン症候群なら速度を落とせば再投与が可能です。まずは初回の投与速度から確認しましょう。
今回からは,これまで取り扱ってこなかったメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)向けの抗菌薬もみていきましょう。抗MRSA薬として,現在日本ではバンコマイシン,テイコプラニン,リネゾリド(LZD),テジゾリド(TZD),ダプトマイシン(DAP)を使うことが可能ですが,これらのなかでも特にバンコマイシンが頻用されます。というのも,バンコマイシン以外の抗菌薬は比較的歴史が浅いので,バンコマイシンのほうが使用経験やエビデンスが豊富であるというのが最大の理由です。