第22回 ダプトマイシン,リネゾリド,テジゾリド

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京大学医学部附属病院感染症内科)

 

Keywords:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),リネゾリド(LZD),テジゾリド(TZD),ダプトマイシン(DAP)

 

Q. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に対して,リネゾリドよりもバンコマイシン(VCM)を頻用する理由を教えてください! 

A. リネゾリドは長期使用すると血球減少を起こすというのが最大の理由です。静菌的であるというのも敬遠される理由です。ほかにも薬価が高い,使用経験が浅い,耐性菌用に温存したいなどの理由があります。

 

バンコマイシン以外の抗MRSA薬にはダプトマイシン,リネゾリド,テジゾリドなどがあります。ダプトマイシンはリポペプチド系抗菌薬に分類される抗菌薬で,MRSAをはじめとするグラム陽性球菌(GPC)全般をカバーします。ただ,稀にMRSAがダプトマイシンに耐性化している点,一部の腸球菌ではダプトマイシンを高用量で用いなければならないことがある点には注意が必要です注1。また,軟部組織への移行性の良い抗菌薬ではありますが,肺胞内のサーファクタントで不活性化してしまうため,肺炎には使えません注2

 

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