執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:単純性尿路感染症,複雑性尿路感染症,大腸菌,ST合剤,キノロン系抗菌薬,催奇形性,セファレキシン(CEX),クレブシエラ,SPACE,セフォチアム(CTM),セフトリアキソン(CTRX),セフェピム(CFPM),カルバペネム系抗菌薬
Q. 複雑性尿路感染症に対する経験的抗菌薬を教えてください!
A. 基本的には大腸菌を念頭にセフトリアキソンなどを使用するのが一般的です。ただし,医療曝露が多い場合には,セフェピムなどで“SPACE”のカバーを検討したいところです。
今回からは,尿路感染症です。古典的には,尿路感染症は大きく単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症に分類されます。単純性尿路感染症というのは,妊娠しておらず,泌尿器系に生理的・解剖学的異常を伴わない,若年女性の尿路感染症を指します。イメージとしては,一般内科外来でよく見る若年女性の急性膀胱炎をイメージしていただければと思います。逆に,それ以外のすべての尿路感染症が複雑性尿路感染症です。つまり,男性であれば即,複雑性で確定になります。