第37回 尿路感染症を「尿路感染症」と呼ぶべからず

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:尿路感染症,膿尿,無症候性細菌尿,早期閉鎖,腎膿瘍,腎盂腎炎,膀胱炎,尿道炎,精巣上体炎,前立腺炎

 

Q. 尿路感染症の診断はどうして難しいのか教えてください!! 

A. 特異的な検査所見がなく,膿尿や細菌尿だけでは診断できない点です。症状や身体所見が矛盾しないことを確認のうえ,尿検査で診断を詰めるのがよいと思います。

 

救急外来で診療をしていると,尿路感染症の患者によく遭遇します。発熱している患者が搬送されてきたら,まずは血液検査(ついでに血液培養も)。C反応性蛋白(C-reactive protein:CRP)が上昇しているから,細菌感染症なのだろう。胸部X線を撮影して異常なし。胸腹部CTでも異常なし。これで肺炎は除外だ。そうこうしているうちに,尿定性検査が返ってきた。白血球陽性,つまりは膿尿。よし,これは「ユー・ティー・アイ」(urinary tract infection:UTI)。入院だ! セフトリアキソンを始めておこう…といった診療をよく見かけます。

 

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