第39回 膀胱炎や腎盂腎炎も意外と診断が難しい

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:単純性尿路感染症,病歴,身体所見,JAMA,陽性尤度比,陰性尤度比,腎盂腎炎,肋骨脊柱角叩打痛

 

Q. 腎盂腎炎を診断する際の肋骨脊柱角叩打法の注意点を教えてください! 

A. 1つ目は,叩打痛がなくても腎盂腎炎を否定しないこと。単純性尿路感染症に対する肋骨脊柱角叩打痛の尤度比はさほど優れていません。もう1つは,強く叩きすぎないこと。上手にやらないと激痛が走り,患者が気の毒です。

 

ここまで,尿路感染症では病歴や身体所見を取ることを怠らずに確認し,検査所見だけに頼らないことを強調してきました。ところが,尿路感染症を診断するにあたって,病歴や身体所見がずば抜けて優れているかと言えば,必ずしもそうとは言い切れません。結局のところ,尿路感染症を診断できる「飛び道具」はなく,総合判断こそが重要である…,今回はそのお話です。

 

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