執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:尿路感染症,グラム陰性桿菌(GNR),グラム陽性球菌(GPC),腸球菌,腐性ブドウ球菌,B群レンサ球菌,妊婦,黄色ブドウ球菌,菌血症,感染性心内膜炎
Q. 尿から黄色ブドウ球菌が検出されたときの対応を教えてください!
A. 黄色ブドウ球菌が尿路から検出される状況としては,尿道カテーテル挿入などの手技関連か,血流感染症に伴う泌尿器系への感染が考えられます。後者は緊急度が高く,菌血症や感染性心内膜炎などがないか確認する必要があります。
尿路感染症は,基本的には大腸菌をはじめとするグラム陰性桿菌(GNR)による感染が多いことを繰り返しお話ししていますが,時としてグラム陽性球菌(GPC)が関与することもあります。肛門と尿道が近い位置にあることを考えると,腸管内にいるGPCであれば尿路感染症を起こしても不思議ではありません。例えば,腸球菌(Enterococcus faecalis,E. faecium)はその代表格で,多数派とまでは言いがたいものの,腎盂腎炎の起因菌として見かけることがあります。市中感染もありますが,主に尿道カテーテル関連で見かけます。