第51回 肺炎は意外に診断が難しい

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:肺炎,心不全,急性呼吸窮迫症候群,嘔吐,化学性肺臓炎,炎症の波及

 

Q. 胸部X線に影が見えても肺炎でない場合を教えてください!  

A. 心不全を筆頭に,非感染性疾患の鑑別診断が数多くあります。肺外の感染症の場合でも,急性呼吸窮迫症候群や,嘔吐で化学性肺臓炎が生じていたり,腹腔内感染症の炎症が波及していたりする場合などで肺に影が見えることがあります。

 

皆さんは肺炎をどのように診断していますか? 発熱を主訴に高齢患者が来院され,熱源精査とばかりに胸部X線を撮影すると,肺に影が見える。「これは肺炎だ!」ということで,入院してアンピシリン・スルバクタム(ABPC/SBT)やセフトリアキソン(CTRX)を開始する……このようなプラクティスをよく見かけますが,これでは肺炎以外の鑑別診断を見落とす可能性があり危険です。そもそもこのやり方では,肺炎にふさわしい呼吸器症状があったかも明らかになっていません。やはり肺炎であれば,咳嗽症状や呼吸数の増加,酸素飽和度の低下などの所見があってほしいものです。というわけで,今回は肺炎診療における誤診パターンを見ていきましょう。

 

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