第53回 喀痰塗抹検査は培養検査の下位互換にあらず

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:喀痰グラム染色,喀痰培養検査,黄色ブドウ球菌肺炎,緑膿菌肺炎,肺炎球菌,自己融解酵素

 

Q. 喀痰グラム染色を確認する意義を教えてください!  

A. 自分の手で実施した場合はその場で結果がわかり,抗菌薬選択の参考にすることができます。また,複数の菌がいる場合にどの菌が優位かを視覚的に確認できます。肺炎球菌など,培養で発育しづらい細菌を確認できることもあります。

 

皆さんは感染症診療のなかでグラム染色(塗抹検査)をされていますか? 自分自身でグラム染色を行わない場合は,細菌検査技師さんに依頼することになりますが,多くの場合は培養検査とセットで依頼しているのではないかと思います。先に結果がわかるのがグラム染色なので,数日もすると速報として「グラム陽性球菌(GPC)2+」といった情報が出てきます。そして,そこからもう数日待つと培養検査によって同定・感受性が明らかになり,「黄色ブドウ球菌」や「メチシリン感受性」といった情報が得られるわけですね。

 

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