第56回 非定型肺炎にどの抗菌薬を使うか

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:非定型肺炎,レジオネラ肺炎,マイコプラズマ肺炎,クラミジア肺炎,マクロライド系,キノロン系,テトラサイクリン系,薬物相互作用,QT延長,ワルファリン

 

Q. 非定型肺炎のカバーにおすすめの抗菌薬を教えてください!  

A. マクロライド系が第一選択薬です。副作用(特にQT延長症候群)や薬物相互作用が問題になる場合は,キノロン系やテトラサイクリン系での代用を検討しましょう。

 

肺炎診療を考えるうえで,非定型肺炎の問題を避けて通ることはできません。非定型肺炎とは,一般にはレジオネラ肺炎(例:Legionella pneumophila),マイコプラズマ肺炎(例:Mycoplasma pneumoniae),クラミジア肺炎(例:Chlamydophila pneumoniae)のことを指します注1。レジオネラ肺炎は高齢者や細胞性免疫障害が背景にある場合にみられやすく,発症初期には頭痛や食思不振,腹痛などの肺外症状がみられることがあります。また,マイコプラズマ肺炎やクラミジア肺炎は,既往歴の少ない若年者にみられやすく,頑固な乾性咳嗽があるが胸部聴診所見に乏しいことが特徴として知られます。

 

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