第57回 治らない肺炎(non-resolving pneumonia)

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:治らない肺炎,non-resolving pneumonia,抗酸菌,ノカルジア,アスペルギルス,ニューモシスチス,膿胸,肺炎随伴性胸水,肺化膿症,肺癌,特発性器質化肺炎

 

Q. 「治らない肺炎」の鑑別診断を教えてください!  

A. 本当に治らない場合は,薬剤耐性菌,一般細菌以外の病原体,肺炎を難治化させる合併症,悪性腫瘍,膠原病などの可能性を一つひとつ丁寧に点検していくとよいかと思います。

 

「肺炎がなかなか治らない」こともあるかと思います。そんなときには,まず「本当に治っていないのか?」という問いかけが大切です。つまり,何を根拠に治っていないと判断したのか,です。よくある事例として胸部X線の異常陰影が改善しない場合が挙げられますが,これは活動性の肺炎そのものでなく肺炎後の器質化を見ているだけかもしれません。また,CRPの下がりが遅いという相談もよく受けます。ここで重要になってくるのが臓器特異的なパラメータで,酸素飽和度〔または動脈血酸素分圧(PaO2や吸入気酸素濃度(FIO2)〕や呼吸数,喀痰量などに注目することをおすすめします。これらの指標は肺炎の治療とともに速やかに改善していくことが多いため,治療効果の大局を見るうえで重宝します。

 

続きを読むには
無料の会員登録 が必要です。

こちらの記事の内容はお役に立ちましたか?