第64回 意外と悩ましい腹腔内膿瘍に対する抗菌薬治療期間

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:腹腔内膿瘍,ドレナージ,抗菌薬,治療期間

 

Q. 腹腔内膿瘍への抗菌薬治療を終了する目安を教えてください!  

A. 感染源を十分に制御できていれば,4~7日程度で構いません。ただし,感染源を制御できていない場合には長期治療を要することが多いです。

 

感染症コンサルタントをしていると,抗菌薬での治療期間についてご相談いただく機会が少なくありません。腹腔内膿瘍もその例外でなく,治療期間に悩まれる先生方が多いようです。ただ,感染症の治療期間は臓器ごとに決まっているケースが多く注1,ガイドラインの記載を参考にするのが一般的です。というわけで,2010年に米国感染症学会(IDSA)が出した複雑性腹腔内感染症のガイドラインを確認してみると,以下のように書かれています注2

 

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