執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:予防的ドレナージ,治療的ドレナージ,ドレーン,培養検査
Q. ドレーン排液から薬剤耐性の強い細菌が検出されました。抗菌薬を変更する際の考え方を教えてください!
A. まずは,本当にその細菌に感染しているのかを考えましょう。ドレーンに定着しているだけの細菌であれば,抗菌薬の変更は不要です。
腹部手術後の患者にはドレーンを留置することがよくありますが(予防的ドレナージ),その意義については議論が分かれます。メリットとして,手術部位の体液貯留の軽減,出血や腸管穿孔といった合併症のモニタリングが挙げられる反面,ドレーン留置に伴う逆行性感染や疼痛,物理的刺激に伴う局所炎症というデメリットがあります。このように,腹部手術後の予防的ドレナージの是非は盛んに研究されていますが,一部の術式を除いて議論の余地があるということで,なかなか煮え切りません注1。