第67回 急性膵炎で抗菌薬を使うべきか

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:CRP,急性膵炎,予防的抗菌薬,壊死性膵炎

 

Q. 急性膵炎で抗菌薬を投与するべきなのか教えてください!  

A. ルーチンでの投与は推奨されていません。ただし,膵内外で感染症を合併しやすい状態にはあるので,感染徴候が出現しないか慎重に経過を追う必要があります。

 

「CRP値が上昇しているからといって,感染症が問題になっているとはかぎらない」。これは読者のほとんどの方がご存じかと思います。その一方で,CRPが高値の場合は感染症なのではないか,とついつい疑い深くなってしまうこともあるのではないでしょうか。例えば,大動脈解離の急性期ではしばしばCRPが10mg/dL程度に達し,炎症に伴って胸水も出現してきますが,こういった状況下で抗菌薬が投与されているのをよく見かけます注1。大動脈解離であればCRPの上昇幅も限定的ですが,さらにCRPの上昇しやすい急性膵炎については,現場で迷われることも多いかと思います。

 

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