執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)
Keywords:感染性腸炎,除外診断,脱水,糞便培養,抗菌薬,対症療法
Q. 感染性腸炎を診療するコツを教えてください!
A. 「これは感染性腸炎でないかもしれない」と(特に高齢者では)ひたすらに疑うことです。心筋梗塞でも,嘔吐や腹痛が主訴になることがあります。
感染性腸炎は,一般外来・救急外来のいずれでもよくみかける疾患です。治療も対症療法であることが多く,つい気が弛んでしまいがちですが,感染性腸炎で最も気をつけないといけないのは,致死的疾患の誤診です。感染性腸炎が急性発症の消化器症状(腹痛や悪心・嘔吐)に対する除外診断である,ということを心しておきましょう。つまり,心筋梗塞,心筋炎,くも膜下出血,糖尿病性ケトアシドーシス,副腎不全,妊娠などでも腸炎様の症状を示すことがあるので,これらの疾患の可能性がないかを病歴や身体所見などを通じて確認しておきましょう。