第77回 血管内デバイスと菌血症

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京医科歯科大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:血管内デバイス,菌血症,グラム陽性球菌,植え込み型ペースメーカ,人工血管グラフト,CT血管造影,核医学検査 

 

Q. 血管内デバイス留置中に菌血症を発症した場合の対応を教えてください!

A. デバイスの除去が原則で,抗菌薬の選択に際しては主にブドウ球菌などのグラム陽性球菌のカバーを意識します。デバイスごとにガイドラインが出ていますので,必要に応じてご参照ください。

 

併存疾患を抱える患者の多い超高齢社会においては,中心静脈カテーテル以外の血管内デバイスを留置している患者を診療する機会も多いかと思います。洞不全症候群に対してペースメーカを挿入していたり,大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術後だったりと,血管内デバイスも多様です。このような患者の菌血症を治療する際,デバイスを抜去すべきか,抗菌薬をどの程度の期間投与すべきかなど,悩みが尽きません。ここで皆さんにぜひ知っておいていただきたいのは,これら血管内デバイスに関連した感染症の治療法は,しばしばガイドラインに記載されているということです。つまり,ある程度は方法論が確立されているとも言えます。今回は,血管内デバイスに関連した菌血症への対応を学んでいきましょう。なお,起因菌はブドウ球菌をはじめとするグラム陽性球菌が半数以上を占めるため,経験的治療としては抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬を中心に使用します注1。 

続きを読むには
無料の会員登録 が必要です。

こちらの記事の内容はお役に立ちましたか?