第87回 中枢神経感染症と髄液移行性

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:髄膜炎,脳炎,脳膿瘍,中枢神経移行性,肺炎球菌,インフルエンザ桿菌,髄膜炎菌,セフトリアキソン(CTRX),リステリア,アンピシリン(ABPC),ステロイド

 

Q. 市中発症の細菌性髄膜炎に対する経験的治療のレジメンを教えてください!

A. セフトリアキソンとバンコマイシン(VCM)を中枢神経量で使用しますが,50歳以上ではアンピシリンも併用します。セフトリアキソンはメロペネム(MEPM)でも代用可能ですが,肺炎球菌の場合はセフトリアキソンのほうが有利かもしれません。ステロイドもお忘れなく。

 

これまでさまざまな臓器別感染症のお話をしてきましたが,中枢神経感染症がまだでした。中枢神経感染症といえば,髄膜炎,脳炎,脳膿瘍などが該当しますが,これらの治療では抗菌薬の選択に制約がかかってくるので,感染症診療を俯瞰するうえで避けては通れない話題です。中枢神経系(脳脊髄液)への移行性が重視されるからです。  

 

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