第89回 免疫不全者の感染症の全体像

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:宿主因子,免疫不全,薬物相互作用,発熱性好中球減少症,液性免疫障害,細胞性免疫障害,緊急対応

 

Q. 免疫不全者の感染症へのアプローチを教えてください!

A. 免疫正常者と同様に対応しますが,その過程で免疫不全の分類を意識しながら鑑別診断を加えていくのがよいかと思います。ここから一気に難易度が上がりますので,ゆっくりと勉強していきましょう!

 

これまでの流れを復習すると,まず抗菌薬がどのような細菌に活性をもつのかという「病原体」の話があり(第1~25回),次に「感染臓器」ごとの抗菌薬の使い方などをお話ししてきました(第27~88回)。つまり,抗菌薬の使い方を「病原体」と「感染臓器」という2つの視点で俯瞰してきたわけです。ところが,「感染症診療の3大要素」(第26回)のうち「宿主因子」についてはまだお話ししていません。「宿主因子」には,患者の年齢や性別,既往歴,アレルギーなどのさまざまな要素が含まれるのですが,感染症診療を勉強するうえで最も重要な要素が免疫状態です。免疫正常者の感染症はこれまでの知識で対応できるのですが,免疫不全者の場合はどうしても知識の補強が必要になります。したがって,ここから先は免疫不全に焦点を絞って解説していこうと思います。  

 

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