第110回 ニューモシスチス肺炎の診断プロセスを見直す

ブックマーク登録

執筆:伊東 完(東京医科大学茨城医療センター総合診療科)
監修:岡本 耕(東京科学大学病院 感染症内科・感染制御部)

 

Keywords:ニューモシスチス(Pneumocystis jirovecii),細胞性免疫障害,グロコット染色,β-Dグルカン,偽陽性,ST合剤,ペンタミジン,アトバコン

 

Q. ニューモシスチス肺炎の診断に際して,β-Dグルカンの偽陽性に振り回されないコツを教えてください!

A. なぜβ-Dグルカン検査を提出したのかを明確にすることです。免疫不全の背景があって,呼吸器感染症を疑う症状があれば,ニューモシスチス肺炎が疑われるので,診断のためにβ-Dグルカン検査を提出するだけの大義名分が立ちます。

 

本連載では,これまで抗菌薬や臓器別の細菌感染症の話をしてきました。それが,気がつけば免疫不全の話にまで広がっています。免疫不全に手を出すと,どうしてもウイルスや真菌などの話題を避けることができません。ここからは真菌の話題になるのですが,講演会などで皆さんからご質問いただくことの多い領域でもあります。「抗菌薬ものがたり」というタイトルから逸脱するのですが,学べば学ぶほど感染症診療が面白くなる内容ですので,少しばかりお付き合いください。

 

続きを読むには
無料の会員登録 が必要です。

こちらの記事の内容はお役に立ちましたか?