第2回(前編) 「医療」×「映画」


大森 立嗣(映画監督,俳優)
平島 修(徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター 名瀬徳洲会病院内科)

※『総合診療』誌連動企画! 本対談は『総合診療』33巻3号(2023年3月号)pp343-348にダイジェスト版を掲載しています。本連載では3回に分けて完全版を掲載いたします。

社会の枠組みからはみ出した「声にならない声」を表現する─映画『MOTHER マザー』 
対談は大森立嗣監督の映画『MOTHER マザー』(2020年)をもとに進めていった。この映画に描かれていたのは,貧困・虐待・犯罪といった社会の闇が最初から最後まで貫かれていた物語であった。親から暴力を受け続けた子どもが成長し,やがて思春期になり,他の子どもや社会と交わるなかで,自分が受けている暴力が当たり前のことではないと知ったとき,いったい子どもはどのような声を上げるのか? 大森監督は映画人生を通して,こうした「声にならない声」を表現したいとおっしゃる。社会に存在するすべての人を対象として接する医師は,最新のエビデンスや医学知識と同等に,患者の背景を知る必要があり,それには芸術や文化,社会情勢といったところに目を向けることが大切である。そのことを,本対談を通して感じていただけたら幸いである。(平島 修)

 

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