斎藤 環(精神科医)
平島 修(徳洲会奄美ブロック総合診療研修センター 名瀬徳洲会病院内科)
※『総合診療』誌連動企画! 本対談は『総合診療』34巻7号(2024年7月号)pp833-839にダイジェスト版を掲載しています。本連載では3回に分けて完全版を掲載いたします。
精神医療とは? 患者の心にどうアプローチしたらよいか?
「患者の話を聞く」という行為は医療行為のスタート地点で,診断・治療の柱でもある。 しかし,現代の医療においては,それが「患者の症状を聞く」になっていないだろうか? 症状のみに注目し,チェックリストを埋めて点数化,あるいはフローチャート化し,診断の箱に入れて治療を組み立てる。このテクニックばかりが強調され,実際の現場では,訴えをうまく表現できない患者,治療そのものが困難な超高齢患者が,こぼれ落ちてはいないか? 修練中の医師から,「勉強にならない患者」と軽視されている現状はないだろうか? 今回,「対話を続ける」という考えが柱となったオープンダイアローグという精神療法を日本へ輸入した第一人者である,精神科医の斎藤環氏に,精神医療や患者の心へのアプローチ方法についてお話を伺った。(平島 修)