芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう;ツムラNo.68)は別名「去杖湯(きょじょうとう:杖がいらなくなるという意味)」と呼ばれ、こむら返りだけでなく、急性腰痛症にも活用できます。いわゆる、ぎっくり腰は腰部の筋肉の過度の収縮が原因であることから、筋弛緩作用のある芍薬甘草湯のよい適応です。また、芍薬甘草湯の筋弛緩作用は骨格筋にかぎらず、内臓平滑筋にも作用するため、消化管、胆嚢、尿管、子宮に関連した腹痛にも活用できます。そのため添付文書には、筋肉痛・関節痛、胃痛、腹痛と記載されています。また、芍薬甘草湯の投与目標となる他覚所見として、腹診での腹直筋の緊張〔漢方フィジカル編(2)参照〕があります。これは、こむら返りや腹痛のときは疼痛のために腹直筋もギュッと収縮していることに由来します。