【エントリーNo.5】石丸裕康|喜怒哀楽がプロへの道を拓く—「たしかにピーイーですね…」と知ったかぶりした夜を越えて

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【エントリーNo.5】石丸裕康(関西医科大学 総合診療医学講座 教授、総合診療専門研修プログラム責任者)


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「大学病院ではまともな医師になれん!」

そんな恩師の言葉を真に受け、天理よろづ相談所病院の門を叩いた僕を待っていたのは、厳しくも怒涛の日々だった。そして、少し仕事に慣れた頃、“大しくじり”は起きた。

初期研修1年目、まだ2人目くらいに担当した患者さんだった。術後だったが落ち着いてきていたので、終業後に僕は飲みに出かけた。当時はスマホはおろか、携帯電話もない時代。まあ、ちょっとくらい出かけても大丈夫だろう。患者さんも落ち着いていそうだし…。

気分よく宿舎に戻ると、院内用のポケベルに無数の呼び出しが残っている! 青ざめて病棟に走ると、呼吸困難をきたした患者さんを取り囲んで診察している先輩たちの姿があった。
「石丸、これはピーイーや!」。そう教えてはもらったものの、不勉強で何のことかまったくわからない。とはいえ、「それどういう意味ですか?」と聞ける雰囲気でもない…。緊迫した空気のなか、僕は思わず「たしかにピーイーですね…」と知ったかぶりをしてしまったのだった。

先輩たちとの会話をヒントに、必死で正体を導き出した。患者さんは「肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)」だった。
情けなくて平謝りする僕に、普段は厳しい先輩がこう言ってくれた。

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