本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
出雲 博子(執筆時:聖路加国際病院内分泌代謝科)
初出日:2012/03/16
われわれが研修医の頃は基準やマニュアルなどはあまりなく,その都度成書を参考にしたり,上級の先生と相談したりして,各患者の治療方針を立てることが多かった。しかし,最近は日本にもマニュアルやプロトコールが増え,診断や治療の普遍化がいきわたるようになってきた。エビデンスに基づいて専門学会などが作成したマニュアルや基準に沿って診療をすることは,医療の最低限のレベルを確保するためには大変良いことである。しかし,それが実際の臨床では“その”患者にとっては最善といえない場合もある。