本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
八田 和大(執筆時:天理よろづ相談所病院総合内科)
初出日:2012/02/24
新しい概念が海外から輸入されたとき,日本人はいつも新たな言葉を創ってきた。「物理」「哲学」しかりである。「臨床」という単語も,『字通』(白川静 著)にも掲載されていない。やはり造語(coin)されたものだろう。「Clinic」の語源であるギリシア語の“κλινη”は,人がその上に横たわるベッドを意味した。Clinical を「臨床(りんしょう):床(ベッド)に臨む」とはよく訳したものだ。