第28回 看取りといのちと『100万回生きたねこ』
川畑 雅照(日比谷 川畑診療室 院長)

本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです

川畑 雅照(執筆時:虎の門病院分院内科総合診療科) 
初出日:2012/05/11

 

5歳の長女にせがまれて,寝床で一冊の絵本を読み聞かせた。『100万回生きたねこ』というタイトルであった。いつものように読み始めたのだが,そのストーリーは衝撃的であった。最後に本を読み終わる頃,年甲斐もなく声は震え涙でページはかすんでいた。幸い長女は話の途中で眠りに落ちており,何とか父親の面目は保つことができたが,寝ている娘に語りかけていた。「安らかに死ねてよかったね…」と。

 

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