本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
西村 理明(執筆時:東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科 / 米国ピッツバーグ大学公衆衛生大学院)
初出日:2012/08/31
「光陰矢のごとし」というが,私が内科医となることを選択してから,あっという間に20年が過ぎてしまった。それでは,なぜ,私が内科医を志したかといえば,父が小児科医をしており,小学生時代から父の同僚に常々「将来は小児科医になるのでしょう」と言われてきたことへのささやかな反抗であったかもしれない。しかし実際は,患者さん本人とじっくり話し,治療法を選択できる内科が自分に向いていると,2年間の研修医時代に実感したからだと思う。そして,内科のなかでも,特に生活習慣への介入が必要で,患者さんと接する期間がきわめて長い糖尿病を専門として選択したのである。