第45回 Role modelを探せ 
相澤 徹(信州大学名誉教授 / 社会医療法人財団慈泉会相澤病院糖尿病センター)

本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです

相澤 徹 
初出日:2012/09/28

 

私は,並外れて不器用な医学生だった。「鏡」のつく実習はほんとうに苦手,ほとんど苦痛だった。耳鏡,額帯鏡,眼底鏡はまともに使えた記憶がない。糸結びの練習も辛かった。消化器外科の講師の先生の鮮やかな瞬間的な糸結びの技は,ほとんどマジックに見えた。見えるものを図に表すこともひどく下手だった。解剖や病理での描画はあまりにもお粗末で,先生方が単位をくださったことに本当に感謝している。外科系の実習で,私が描いた手術野の局所所見を鳥瞰した図など,ほとんど何が書いてあるかわからないと言ってもよいレベルであった。

 

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