本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
松嶋 大
初出日:2012/09/28
「いいお医者さんになってね」
誰しも忘れられぬ言葉はあるでしょう。
この言葉は,苦しいとき,悩んだときに必ず思い出す,私にとっての忘れられぬ一言です。この言葉が脳裏をよぎるたび,Oさんとご家族,そして私がともに歩んだ日々を想い出します。
研修医一年目の冬,とにかくがむしゃらな頃です。
Oさんは60歳近くの男性。腹水の精査のため入院しました。末期肝癌でした。
Oさんとご家族,そして私の共闘の日々が始まります。