第47回 内科医の本質とその発達 
大西 弘高(東京大学医学系研究科医学教育国際研究センター医学教育国際協力学)

本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです

大西 弘高 
初出執筆:2012/07/11,改訂執筆:2024/07/02

 

米国内科学会(American College of Physicians)のホームページによると,内科学の定義は,「成人の疾患の予防や治療に焦点を当てた医学」である。また,英語のinternal medicineは19世紀末のドイツで広まった分野であるinnere medizinから来ており,実験科学と患者ケアを統合した概念を表していた1)

 

中世まで時計を巻き戻してみると,医師がphysicianと称され,内科医と医師が同義であったことも知られる。この時代には,医師が診断し,外科医が手術,薬剤師が治療という分業体制もみられた。旧ソ連の影響を受けた地域では,近年まで医学がcurative medicine(лечебная медицина)と呼ばれ,医師(内科医)は治療学の専門家という見方であった。日本でも,薬師(くすし)と呼ばれる和漢薬の専門家が治療を行い,医師(内科医)の基盤となった歴史がある。

 

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