本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
前野 哲博(執筆時:筑波大学附属病院総合診療科)
初出日:2012/11/30
人々は,家族とともに,地域社会の中で,文化的背景をもって生活しています。特に,外来診療は,こういった日々の暮らしの中で医療が行われています。
そのことを意識して,外来でありがちな会話例をいくつか見てみましょう。
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〈シーン1〉
医師「では2週間後の火曜日,結果を聞きに来てくださいね」
忙しい外来でこちらが話すのはほんの数分でも,家を出て来院してから会計を済ませて帰宅するまでの時間を考えると,まるまる半日は時間がつぶれてしまいます。患者さんあるいは付き添いのご家族は,職場に無理を言ってなんとか休みをとっているのかもしれませんし,そのことで収入が減っているかもしれません。今,あなたの診察を受けている患者さんは,それだけの覚悟と時間を使って,あなたの目の前に座っているのです。