本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
宮崎 正信(執筆時:宮崎内科医院)
初出日:2012/12/21
私は,東京の国立病院で研修し,関東の大学病院で臨床大学院を卒業,大学病院で教官を経験し,今は一般内科医,腎臓・糖尿病専門医として,かかりつけ医と在宅医療をしております。
ある日のこと,一人のおじいさんが受診されました。診察すると,真新しいシャツに値札がついたままでした。その方は,“病院に行くので,新しいシャツを着てきたのですが,値札を外すのを忘れていました”と照れくさそうに話されました。また,別の女性の患者さんですが,診察の時に“先生,すみません。今日は具合が悪いので,朝からお風呂に入って来ませんでした”と言われました。初めはなんのことかわかりませんでしたが,その方は,毎回受診されるときには,朝からお風呂に入って,新しい下着を着て来るのですと説明されました。