本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
赤井 靖宏(執筆時:奈良県立医科大学卒後臨床研修センター)
初出日:2013/01/11
長く医師をやっていると,診療,特に外来診療にマンネリ感を感じてしまうことがあります。内科の外来診療は慢性疾患を対象とすることが多く,前回と同じ診療内容をそのまま行いがちです。診療がマンネリ化すると,必要な薬剤変更が遅れたり,検査が後回しになったりする可能性があります。特に診療患者数が多くなるとこのような傾向が強くなってきます。
どうすれば,このようにならず,いつも新鮮に患者診療をすることができるでしょうか。私は卒後15年ほどたの頃に,ある先輩医師から彼が留学中に出会った医師の話を聞きました。その優れた臨床医は,「毎日の患者診療には患者一人ひとりに新たな発見がある。新たな発見がないのは医師がそれを発見しようとしないからだ」と話されたとのことでした。