本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
田妻 進(執筆時:広島大学病院総合内科・総合診療科)
初出日:2013/02/15
ヒトは出会った人の数だけ見識や感性が豊かになる,そんな実感をもつようになった筆者から若き読者にメッセージを送ります。今わが国が直面する医療の窮状,すなわち“医療の崖”に内科医としてどう向き合うのか,一緒に考えましょう。
筆者は大学卒業後すぐに内科研修を開始して以来,30年余り内科医として仕事を続けてきましたが,その間さまざまなロールモデルにお目にかかりました。医者として3年目で赴任した市中病院で出会った先輩は,「患者を全体として診ることが大切」が口癖でした。今風にいうと“全人的医療”ということになるのでしょうか。妙に心に響きました。