本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。さまざま困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
清田 雅智(執筆時:飯塚病院総合診療科)
初出日:2013/05/17
私は学生の頃,水泳部に所属していた。恒例の夏合宿の一つのイベントとして100×100というものがあった。100mを1本として100本を一日で泳ぐというものである。朝から始めて休憩を挟んで夕方までかかるのだが,昼頃になるともう肩が上がらないほどに疲労したものであった。最後の1本を泳ぐ頃には,こんな練習に意味があるのかといった不平の気持ちもどこか吹っ飛び,終われる安堵の気持ちとともにその達成感がなんとも言えなかった。ただし途中はとにかく単調な作業の繰り返しであり,決して楽しいものではない。今思えばこれは根性を鍛えるために必要な練習だったと述懐する。