本連載では2012年1月から2014年4月にかけて医学書院の電子ジャーナルサイト「MedicalFinder」に掲載されたエッセイ『内科医の道』を復刻掲載します。 さまざまな困難を乗り越えて道を切り拓いてきた先達たちが贈る熱いメッセージは,時を経てもその価値は変わりません。内科医人生の道しるべとなる珠玉のエッセイを堪能ください(注:断り書きがない場合,執筆内容,所属などは初出時のものです)
谷口 洋貴(執筆時:大津ファミリークリニック)
初出日:2013/08/09
科学万能の時代は終わった,という言葉を聞いたことがあるかもしれません。そしてなんと「医療」を行うにも「こころ」が必要である時代に既に突入しちゃっています。科学という物質的なものと「こころ」という見えないものをともに持って医療にあたらないといけない時代なのです。
医療を実践するには「evidence」に基づいた実践が不可欠です。これを「evidence based medicine:EBM」といいます。科学的根拠のない医療は,もはや“危険な医療”と言われてしまいます。evidenceにはさまざまなレベルがあり,何も大規模研究だけを尊重するものではありません。またevidenceのないものもあり,それには,従来の経験に基づく部分も必要となってきます。