第7回 イヌサフラン
上條 吉人(埼玉医科大学教授臨床中毒学講座 / 同大学病院臨床中毒センター長)


頻度:★☆☆☆☆ 危険度:★★★☆☆

 

■ 初期対応 


Q1特徴的な症状は? 
A1:イヌサフラン摂取後24時間以内に悪心・嘔吐,下痢,腹痛などの消化器症状,1~7日で著しい白血球減少や肝腎障害などのさまざまな臓器障害,1~3週間で脱毛が生じます。 

 

解説:表1に示すように,イヌサフラン中毒(後述するコルヒチン中毒)の臨床経過は3段階に分類されています。イヌサフラン摂取後24時間以内に悪心・嘔吐,下痢,腹痛などの消化器症状が生じます。嘔吐や下痢などによる著しい水分の喪失や体液の移動により,血圧低下,循環血液量減少性ショック,突然の心停止が起こることもあります。当初は白血球増多が生じますが,その後に骨髄抑制による白血球および血小板減少が生じます。著しい白血球減少が生じると,後述するメカニズムで小腸粘膜細胞が傷害されているため,消化管内のグラム陰性桿菌による細菌感染のリスクが増大し,敗血症が引き起こされることがあります。骨髄抑制は2週間以内に回復し始めます。このほかに,肝腎障害などのさまざまな臓器障害が生じます。脱毛症は摂取後1週間より始まり,3週間で完成します。ただし,一過性で1カ月より再び発毛が始まり,数カ月で回復します。 

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