第15回 オオムカデ類(トビズムカデなど)
上條 吉人(埼玉医科大学教授臨床中毒学講座 / 同大学病院臨床中毒センター長)


頻度:★★☆☆☆ 危険度:★☆☆☆☆

 

■ 初期対応 


Q1:特徴的な症状は?
A1:局所症状として,咬まれた直後に激しい疼痛が生じ,その後に発赤・腫脹,掻痒感,しびれ感などが生じます。全身症状として,頭痛,嘔気・嘔吐,めまいなどが生じます。  

 

解説:局所症状として最も頻度の高いのが,咬まれた直後の咬傷部の激しい疼痛で,発赤・腫脹がそれに続きます(図1)。疼痛はたいてい30分~3時間で消失しますが,最長で3日間持続します。その他に,咬傷部の知覚異常,しびれ感,掻痒感,灼熱感,浮腫,水疱,出血性小水疱,皮下出血,痣,壊死,蜂窩織炎,壊死性筋膜炎,リンパ管炎,リンパ節炎も報告されています。さらに,咬傷後の発熱,悪寒,全身の激しい掻痒感や発疹,好酸球性蜂窩織炎,アナフィラキシーなどのアレルギー様反応も報告されています1)。全身症状として,頭痛,嘔気・嘔吐,めまい,かすみ目,不安,意識障害,多発性神経障害,呼吸困難,動悸,頻脈,胸痛,血管攣縮,心筋虚血および心筋梗塞,血圧低下,横紋筋融解症,血尿,ヘモグロビン尿,蛋白尿,急性腎不全などが報告されています。 


図1 左手背のムカデ咬傷による発赤,腫脹(a),患者が持参したオオムカデ類の死骸(b)

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